2016年5月30日月曜日

2016/05/30 今日の取っ手【傑作選】

おかげさまで拙ブログももう少しで満6歳となるのを前に、
今日の取っ手から、特に気に入っている取っ手たちを紹介したい。

「今日の取っ手」として投稿している記事は
読者の方に余計な先入観を与えず、純粋に自分の目で取っ手を堪能出来るよう
なるべくシンプル、説明文も極力省いているが、
今回は「傑作選」ということで、1つずつ見どころを、魅力をお伝えしたい。


2012/06/20 塗装の地層
これを撮った頃、仕事が結構しんどかった記憶がある。
撮りためた取っ手の写真を見返してみると、取っ手の手触りとか、
その時の心境なんかが思い出される。

それにしても、ドアノブ自体の形も良いが
目を奪われるのはその模様である。
毎日毎日手で触れられている歴史が、その模様に詰まっている。
 



これを見た時に想起したのは、なぜか日本刀の美しさだった。(実物見たことないんだけど)
投稿の際「外して、日本刀のように、床の間に飾りたい。」と言っており、
ちゃんと置台を誂えてやれば、立派な飾りとして成立しそう。

握る部分はやわらかな形をしているのに、端の仕上げがカチッとしたラインなのも魅力的。
全体として見た時に、甘すぎず辛すぎない絶妙なバランス。




娘が松ぼっくり集めにハマっていて、仕事帰りに拾った時に
「あ、これも取っ手だわ」と思って撮った1枚。
思ったよりふわりと柔らかく、なかなか手触りが良かった。
取っ手に実際に触って撮った事はあまり無かったが、
今気がついたけどこれは取っ手との記念撮影なのではないか。



「蕎麦の取っ手」という言い方が日本語としてどうなんだろうという気もするんだけれども、
やっぱり蕎麦にだって、食べるのに丁度いい掴みどころってのがあって
あんまり端っこを箸でつまんじゃうと食べづらく、
各自のひとくちに丁度いい量を、うまい具合につまんで食べているわけであり、
取っ手の判断は三者三様だし、誰がなんと言おうとこれは「私が思う蕎麦の取っ手」である。



パンフレットの棚。
パンフレットにだってもちろん取っ手はあるわけで
(手で触れて持ち上げられる物にはすべて取っ手がある)、
その取っ手にアクセスしやすいよう、Uの字を90度回したような切り欠きと、
「ここから持ってって!」と言わんばかりの青い三角2つに気がついてしまうと
よりパンフレットの取っ手が強調され、それは素晴らしい見どころとなる。 



取っ手ではなく、おそらくそこに取っ手があったであろう写真。
バネが引っ掛けられている左側の穴には、もともと取っ手があったはず。
(扉を閉めているとき下向き、開けるときは左に90度回すタイプじゃないだろうか)
元の取っ手が壊れたかなにかで外され、そのままだと扉が開いちゃうのでバネで引っ掛けられ、
それでも完全に閉まらなかったので上に錠前 (これは「掛金錠」と呼ぶそうです)を付けたのではないか。
もともとの取っ手、ちゃんと保管されているだろうか。捨てられていないだろうか。




この控えめな佇まいにやられた。板に対して小さくて大変可愛らしい(持ちやすさは別として)。
ゴミ収集所関連の取っ手って、魅力的なのが多くて気になるのだが、
その魅力はおそらく、誰からも顧みられない裏方的存在なのに、
それがないとみんな結構困る点にあるのではないかと思う。
(世界にあふれてる取っ手はだいたいみんなそうなんだけど)

もちろん板に勝手に取っ手がつくわけもなく、
「取っ手をつければ便利なんじゃないか」と考えて、
取っ手と同じ幅の穴を開けて、ネジを閉めて取っ手をつけた人がちゃんといるわけで、
それは取っ手の生みの親と言っても差し支えなく、
その取っ手を付けたい、という人の優しい気持ちに称賛を、そしてありがとうと言いたい。
たとえそれが、板の大きさに合ってなくて、有り合わせの取っ手であってもだ。



地下鉄駅での落し物。小さなカバンが点検口?の小さなノブに引っ掛けられていた。 
取っ手を取っ手に引っ掛けるというのは、日頃誰でもやってしまうのではないだろうか。
これもその佇まいに惹かれて、通り過ぎたあとにわざわざ戻って写真を撮った。



どこに取っ手が?という感じだが、
壁面の隠し扉のようなところに、ドアノブがある。
工事が終わってしまえば、そう滅多には触ることの出来ない近いようで遠い取っ手である。

少なくとも私は絶対に触ることが出来ない。
だからこそ手触りやその操作感などを自分の手で確かめたいと余計に思ってしまう。



2016/05/30 あとがき

 今回傑作選をまとめるにあたり拙ブログの投稿を見返したが、こんなに変で面白いブログは世界中見てもここだけだと改めて思った(自画自賛だが)。
 だって取っ手の写真がただ淡々とアップされているブログなんて、他にあるだろうか?
 あったらぜひ見てみたいし、それは私のためのブログだと思うし、取っ手偏愛仲間としてぜひ情報交換なりオフ会なりを開いて、お互いお気に入りの取っ手なんか持ち寄って酒でも飲みながらわいわいやりたい。

 それと、もう6年ほど「取っ手」という観点で写真を撮り続けいているが、これはもともと大山顕さん(@sohsai)の「2ヶ月間ですごい写真を撮るワークショップ」に参加したのがきっかけだった。
 課題の一つ、「自分の好みと関係なく、好きでもなんでもない物を街中探してひたすら撮る」の課題で「取っ手」を選んでから、それを6年も撮り続ける事になるとは思ってもいなかった。

最近気に入った取っ手を撮る時、なるべく取っ手が構図の真ん中に、取っ手の真正面から撮るようにしている。ともすればも単調な写真になってしまうところだが、経験上、それが取っ手の魅力が一番引き出せるように感じるからだ。
 好きな物を写真におさめたいと思った時、自ずと撮り方が決まるというか、取っ手に撮らされているとすら感じる。
 そしてこれこそが「すごい写真を撮る」ということではないかと思うようになった。

 拙ブログ「世界は取っ手であふれてる」 は6月29日で満6歳となります。
ほとんど私による私のため、私のためだけのブログではありますが、今後もご声援よろしくお願いします。


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